Global Top Improver Awards 2027
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失明者の衝突事故を「皮膚へのモールス信号」で防ぐ。OKIMOプロジェクト、英BMJの国際賞「Global Top Improver Awards 2027」最終候補に選出

群馬パース大学 木村朗研究室が視覚障害当事者と共同で進める「OKIMOプロジェクト」が、「Global Top Improver Awards 2027」のPatient & Community Engagement Award部門で最終候補に選ばれました。

群馬パース大学 木村朗研究室(群馬県高崎市)が視覚障害当事者と共同で推進する「OKIMOプロジェクト」が、英国の医学出版グループBMJ Group主催「Global Top Improver Awards 2027」のPatient & Community Engagement Award(患者・地域参画賞)部門において最終候補に選出されました。

最終候補は全selected部門を通じて計15件となっており、BMJは2026年10月27日(英国時間)に公式サイト上で発表を行いました。
受賞者は2027年4月21日にポルトガル・リスボンで開催される「Healthcare Improvement Forum」の授賞式にて、参加者投票および専門審査員の審査を経て決定・発表される予定です。
当日は木村朗教授がチーム代表として出席し、候補者が主催する対話セッション「World Cafe」でテーブルを担当します。



■ 背景:視覚障害者とスマートフォン等利用者の衝突事例
スマートフォンを操作しながら歩行する者や、走行音の極めて小さい電気自動車の普及に伴い、視覚障害者が接近を察知できないまま衝突に至る危険性が増大しています。
本プロジェクトは2014年、理学療法士である木村教授が、前方を注視していない歩行者と視覚障害者との衝突事故を頻繁に目撃したことを契機に始動しました。

■ 課題:聴覚・振動に依存した警告手段の限界
全盲者にとって聴覚は周囲の状況を把握するための重要かつ主要な手段であり、音声等による警告案内は聴覚情報を占有してしまう課題があります。
また、駅のホームなど大きな騒音や振動が発生する環境下では、音や振動による情報伝達が確実に機能しない場合があります。このため、聴覚や触覚振動に依存しない「第3の情報伝達経路」の確保が求められていました。

■ 取り組み内容:当事者主体で開発した電気刺激による情報伝達
「OKIMO」は、接近する歩行者等の方向をコンピュータビジョン技術によって検知し、腰部に装着した電極から微弱な電気刺激をモールス符号のリズムパターンとして伝達する装置です。
開発においては盲学校の全盲教員をはじめとする当事者が主体となり、仕様決定や方向性の策定を行ってきました。

・音ではなく「皮膚感覚」へ警告を伝達し、聴覚の占有を防止
・目的地への道案内よりも「衝突回避」機能の実装を優先
・左・正面・右の各方向を、短点・長短混在・長点といったリズムパターンの違いで識別可能とし、モールス符号の知識がなくとも直感的に方向を判定できる構造を採用

さらに携帯型脳波計を用いて電気信号が脳内でどのように識別されているかを解析・検証。高額な専用機器を必要とせず、スマートフォン単体で動作するアプリケーション版も公開することで、導入コストの削減および利便性向上を図っています。

■ 成果および実績
・視覚障害当事者13名が参加した検証実験において、信号伝達率100%、衝突回避率95%を記録
・2014年のプロジェクト開始からの当事者参加数は延べ142名
・脳波解析に関する新指標「Metric-T」に関する論文が、国際学術誌『Neuroscience Informatics』(2026年)に掲載
・関連特許を取得(特許第6947762号)。本事業は日本学術振興会 科学研究費助成事業(24K06197)の支援を受けて実施

■ 選出の意義:「未然に防いだ事故」に対する国際評価
BMJ Groupによる「Patient & Community Engagement Award」は、患者や地域住民が医療・ケア現場の改善に主体的に参画したプロジェクトを表彰する部門です。
OKIMOプロジェクトにおいて当事者は単なる意見聴取の対象にとどまらず、技術開発の方向性を決定する主体として位置付けられています。
事故として記録や報道に残らない「未然に回避された衝突」という公衆衛生上の成果やアプローチが、国際的な評価を受けた形となります。

■ リスボンで開催される「Healthcare Improvement Forum」での活動予定
・2027年4月21日 12:30-13:10(現地時間):対話セッション「World Cafe」において木村教授がテーブルを主催。約15箇所のテーブルにて15分×3ラウンドの対話を実施
・2027年4月21日 夜:授賞式において各部門の受賞者を発表(事前週に参加者投票および専門審査員の審査を実施)
※本イベントには、木村教授がチーム代表として1名で出席します。

失明した年齢によって通電信号の習得プロセスや学習進度が異なる可能性について brain-wave(脳波)解析を用いて検証を行い、個々の特性に応じた最適な訓練プログラムの開発・導入を進める計画です。
併せて、専門的な介助知識を必要とせず導入可能な小型の自立型デバイスの開発を推進し、視覚障害者の日常生活における安全な移動環境の実現を目指します。



「OKIMOは、視覚障害のある方々が自ら仕様を決め、試し、作り直してきた技術です。防いだ衝突はどこにも記録されませんが、その積み重ねが国際的な場で評価されたことを、これまで協力してくださった当事者の皆さんと分かち合いたいと思います。リスボンでは、技術を当事者が指揮するという日本の実践を世界の医療改善に携わる人々と議論してきます。」



■ 「Global Top Improver Awards 2027」開催概要
・名称:Global Top Improver Awards 2027
・主催:BMJ Group(英国)
・対象部門:Patient & Community Engagement Award(患者・地域参画賞)
・最終候補:全部門で計15件(2026年10月27日 英国時間に公開)
・会場:Healthcare Improvement Forum Lisbon 2027(CCL リスボン・コングレスセンター/会期:2027年4月20日〜22日)
・授賞式:2027年4月21日 夜(現地時間)
・公式ページ:https://healthcareimprovementforum.bmj.com/lisbon/improver-awards-shortlist/



国際連合広報センターサイト「JAPAN SDGs Action Platform」における「持続可能な開発のための2030アジェンダ 仮訳(PDF)」によると、以下のように記載があります。

目標 3. あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する

3.1 2030 年までに、世界の妊産婦の死亡率を出生 10 万人当たり 70 人未満に削減する。
3.2 すべての国が新生児死亡率を少なくとも出生1,000件中12件以下まで減らし、5歳以下死亡率を少なくとも出生1,000件中25件以下まで減らすことを目指し、2030年までに、新生児及び5歳未満児の予防可能な死亡を根絶する。
3.3 2030 年までに、エイズ、結核、マラリア及び顧みられない熱帯病といった伝染病を根絶するとともに肝炎、水系感染症及びその他の感染症に対処する。
3.4 2030年までに、非感染性疾患による若年死亡率を、予防や治療を通じて3分の1減少させ、精神保健及び福祉を促進する。
3.5 薬物乱用やアルコールの有害な摂取を含む、物質乱用の防止・治療を強化する。
3.6 2020 年までに、世界の道路交通事故による死傷者を半減させる。
3.7 2030年までに、家族計画、情報・教育及び性と生殖に関する健康の国家戦略・計画への組み入れを含む、性と生殖に関する保健サービスをすべての人々が利用できるようにする。
3.8 すべての人々に対する財政リスクからの保護、質の高い基礎的な保健サービスへのアクセス及び安全で効果的かつ質が高く安価な必須医薬品とワクチンへのアクセスを含む、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を達成する。
3.9 2030年までに、有害化学物質、ならびに大気、水質及び土壌の汚染による死亡及び疾病の件数を大幅に減少させる。
3.a すべての国々において、たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約の実施を適宜強化する。
3.b 主に開発途上国に影響を及ぼす感染性及び非感染性疾患のワクチン及び医薬品の研究開発を支援する。また、知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS 協定)及び公衆の健康に関するドーハ宣言に従い、安価な必須医薬品及びワクチンへのアクセスを提供する。同宣言は公衆衛生保護及び、特にすべての人々への医薬品のアクセス提供にかかわる「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS 協定)」の柔軟性に関する規定を最大限に行使する開発途上国の権利を確約したものである。
3.c 開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国において保健財政及び保健人材の採用、能力開発・訓練及び定着を大幅に拡大させる。
3.d すべての国々、特に開発途上国の国家・世界規模な健康危険因子の早期警告、危険因子緩和及び危険因子管理のための能力を強化する。