JA鹿児島県経済連が創出した「肉用牛GHG削減クレジット」をフジサワが応援購入
世界初*の肉用牛由来ボランタリークレジット、2026年度のカーボンオフセットに向けて持続可能な畜産を応援
民間主導の「EARTHSTORYボランタリークレジット制度」を運営する株式会社Linkholaは、鹿児島県経済農業協同組合連合会(JA鹿児島県経済連)が肉用牛の飼養に伴う温室効果ガス(GHG)削減活動から創出した「EARTHSTORYボランタリークレジット」の一部について、株式会社フジサワが2026年度の自社カーボンオフセットへの活用を見据えて応援購入することを決定したと発表しました。
JA鹿児島県経済連およびフジサワの両社は、Linkholaが運営するボランタリークレジット市場活性化を目指す「脱炭素経営イニシアティブ」の会員であり、同イニシアティブを通じた会員間のネットワークにより今回の取引が成立しました。
本クレジットは、肉用牛の消化管内発酵(ゲップ)および排せつ物由来のGHG排出量削減を環境価値化した、世界初の測定に基づく実測型ボランタリークレジットです(※Linkhola調べ、2026年10月Web調査)。JA鹿児島県経済連では、2025年の初回68tCO2eに続き、2026年8月に147tCO2eを追加発行し、累積発行量は215tCO2eに達しています。
本取引に際し、JA鹿児島県経済連、フジサワ、Linkholaの3社間でクレジット取引証明書が取り交わされ、2026年10月8日に授与が執り行われました。
今回の購入に先立ち、フジサワの藤澤代表は2026年10月7日に実証農場であるJA鹿児島県経済連の「田代肥育牛センター」を訪問。飼養現場やGHG削減活動を視察し、JA鹿児島県経済連関係者と持続可能な畜産や環境価値の活用に関する意見交換を行いました。
単なる数値としてのクレジット購入にとどまらず、創出背景にある現場理解と創出者・需要家間の相互連携を推進する姿勢は、EARTHSTORYが提唱する「応援購入」の概念を具現化する取り組みとなっています。
■ 取引およびクレジットの概要
・購入者:株式会社フジサワ
・クレジット創出者:JA鹿児島県経済連
・プロジェクト名:肉用牛への補助飼料給餌-鹿児島モデルGHG削減事業
・クレジット制度:EARTHSTORY
・利用目的:2026年度の自社GHG排出量のカーボンオフセット等
・位置づけ:2025年にフジサワとLinkholaが締結した「ボランタリークレジット応援購入に関する基本合意」に基づく取り組み
フジサワは2025年度において、EARTHSTORYを通じた太陽光発電由来のボランタリークレジット調達を実施し、社有車のガソリン消費などに起因するScope1排出量のカーボンオフセットを推進してきました。
今回は、2026年度における自社GHG排出量の完全オフセット(自社カーボンニュートラル化)の達成に向け、環境価値の創出過程や生産現場の可視化が図られた畜産由来クレジットの導入を決定しました。
■「応援先」を自ら訪ねる。田代肥育牛センターで創出現場を視察
2026年10月7日、フジサワの藤澤代表は、JA鹿児島県経済連が運営する田代肥育牛センターを訪問しました。
同センターは、2026年の年次検証において若齢(9~20か月齢)の肉用牛197頭を対象に、補助飼料の給餌によるGHG排出削減に取り組んだ実証農場です。2026年3月21日から5月31日までの実証を経て、147tCO2eのGHG削減量が第三者審査を通じて認証されました。
現地では、肉用牛の飼養環境や補助飼料の給餌、GHG削減活動の運用の考え方について説明を受けるとともに、畜産現場が直面する経営・生産上の課題や、環境価値を生産現場へ還元していく意義について意見交換が行われました。
クレジットの購入企業が実際の創出現場を訪れ、取り組みを担う関係者と直接対話することは、EARTHSTORYが重視する「創出者と需要家との顔が見える関係」を具体化するものです。
今回の視察を通じ、フジサワは自社のオフセット推進のみならず、調達資金がどのような地域・産業・現場の支援につながるかを理解した上で環境価値を選択するという、新たな企業行動モデルを提示しています。
■ 厳しい経営環境の中でも、持続可能な畜産に向けGHG削減に挑む
畜産業を取り巻く経営・生産環境は、飼料・燃料・資材・人件費の上昇、円安、国際情勢の変化に加え、気候変動に伴う猛暑など複合的な影響を受けています。
こうした状況下においても、将来にわたり持続可能な畜産を実現していくためには、生産性や品質の向上と同時にGHG排出削減など環境課題への対応を進めていくことが求められています。
JA鹿児島県経済連では「令和7~9年度中期3か年計画」において脱炭素活動・カーボンクレジット化事業を重点施策と位置付け、2024年度から補助飼料の切替えによるGHG削減の実証を推進。
クレジット創出を通じて畜産分野における環境対策を可視化するとともに、生み出された環境価値を生産現場へ還元する仕組みを構築し、鹿児島県産畜産物の付加価値向上と持続可能な鹿児島県農業の発展につなげることを目指しています。
今回のフジサワによる応援購入は、こうした生産現場のGHG削減努力に需要家企業が応える取り組みです。
肉用牛の生産・加工・流通に関わる企業や消費者に対しても畜産現場の脱炭素への挑戦を周知する契機とし、環境価値を通じた新たな応援の輪を広げていきます。
■ 世界初、肉用牛のゲップ・排せつ物由来GHG削減を環境価値化
JA鹿児島県経済連の提案およびデータ協力のもと、Linkholaは運営する「EARTHSTORYボランタリークレジット制度」において「牛・豚・鶏由来のGHG排出削減」の方法論を開発・策定しました(肉用牛の方法論策定日:2025年6月12日)。
JA鹿児島県経済連は先行して肉用牛のプロジェクトを申請し、初回クレジットを2025年7月に発行しています。
肉用牛の飼養においては、消化管内発酵から発生するメタン(CH₄)と、排せつ物管理から発生するメタン(CH₄)および一酸化二窒素(N₂O)が主要なGH
フジサワは1923年創業の老舗建物・設備メンテナンス企業です。
遮熱塗装をはじめとする各種施工により民間工場や施設の省エネ・脱炭素を支援する傍ら、自社においても2013年より中小企業向け環境経営システム「エコアクション21」を導入し、継続的な環境負荷低減を推進してきました。
過去10年間で自社のGHG排出量を約75%以上削減しており、主な残存排出源は社有車のガソリン消費由来となっていました。
2025年にフジサワとLinkholaは、EARTHSTORYボランタリークレジットの包括的な応援購入に関する基本合意を締結。
その後、太陽光発電プロジェクト由来のクレジット調達を通じて社有車のガソリン消費等に伴うScope1排出量のカーボンオフセットを推進しました。
今回、2026年度における自社完全カーボンオフセットの達成に向け、畜産由来の環境価値を選択するとともに創出現場への現地訪問を実施。
自社で蓄積した脱炭素実践の知見とノウハウを生かし、今後は群馬および北関東エリアの顧客企業に対する脱炭素支援サービスの強化・展開を進めていく方針です。
SDGs目標13は「気候変動に具体的な対策を」とありますが、そもそも具体的にはどういったことなのでしょうか?
国際連合広報センターサイト「JAPAN SDGs Action Platform」における「持続可能な開発のための2030アジェンダ 仮訳(PDF)」によると、以下のように記載があります。
目標 13. 気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる*
13.1 すべての国々において、気候関連災害や自然災害に対する強靱性(レジリエンス)及び適応の能力を強化する。 13.2 気候変動対策を国別の政策、戦略及び計画に盛り込む。 13.3 気候変動の緩和、適応、影響軽減及び早期警戒に関する教育、啓発、人的能力及び制度機能を改善する。 13.a 重要な緩和行動の実施とその実施における透明性確保に関する開発途上国のニーズに対応するため、2020年までにあらゆる供給源から年間1,000億ドルを共同で動員するという、UNFCCCの先進締約国によるコミットメントを実施するとともに、可能な限り速やかに資本を投入して緑の気候基金を本格始動させる。 13.b 後発開発途上国及び小島嶼開発途上国において、女性や⻘年、地方及び社会的に疎外されたコミュニティに焦点を当てることを含め、気候変動関連の効果的な計画策定と管理のための能力を向上するメカニズムを推進する。